井戸の深さはいかほど・・・お菊さんの世界
作家の京極夏彦先生も来場されたという、姫路文学館の特別展「怪談皿屋敷のナゾ―姫路名物お菊さん―」に行ってきました。
敷地内には、安藤忠雄氏設計の建物と、大正時代の和風建築「望景亭」が同居しています。そして、東に見える姫路城の眺め。これらの組み合わせがとても魅力的な文学館です。
展示室は撮影不可とのことで、写真は看板だけですが、とても見ごたえのある特別展でした。
皿屋敷といえば「播州」「番町」くらいかと思っていましたが、とんでもない。東北から九州まで、全国50カ所で同様の伝説が見られるそうです。展示室では、豊富な文献資料とともに、様々なバリエーションの皿屋敷・お菊伝説が紹介されていました。伝説の伝播についての推論も興味深かったです。
地域によっては、お菊が着ていた打掛(展示あり)や事件当日に掛けられていた軸などの物的証拠(?)も残っているとか。姫路市の十二所神社にも、戦前まではお菊を縛った縄や井戸の釣瓶などが残っていたそうです。
いったい伝説はどこまで本当なのか・・・なかなか正体をつかませてくれないお菊さん。底の知れない井戸にも似て、その謎と魅力は深まるばかりです。
特別展示室では、歌舞伎や浄瑠璃、映画、落語、文学、絵画など、様々な形で描かれた皿屋敷伝説が紹介されていて、その人気ぶりが伺えました。
舞台の写真や映画のポスター、幽霊画、京極夏彦先生の小説の表紙を飾った張子作品など、多彩な展示内容でした。
特別展を見た後には
ミュージアムショップに立ち寄ると、先ほど展示室で見たばかりのお菊ちゃん(が表紙になった「数えずの井戸」)がいたので、つい購入してしまいました。
ところで。
特別展では、「皿屋敷」が収録された桂米朝師匠のレコードも展示されていました。
米朝師匠は姫路市ゆかりの落語家ということで、この文学館の常設展示室にもコーナーがあり、直筆原稿などを見ることができます。
皿屋敷展を見た後、お墓でゆっくりするのも良いですね。