コーヒー豆の長い旅
UCCコーヒー博物館に行ってきました。
UCC上島珈琲株式会社が創業の地・神戸に設立した、コーヒーの魅力を伝える博物館です。
上の写真は、展示構成の案内図。
コーヒーの起源・歴史から、栽培、収穫、鑑定、焙煎、現代のコーヒー文化まで・・・一杯のコーヒーが私たちの手元に運ばれてくるまでのはるかな道のりを、流れに沿って解説してくれます。
一本のコーヒーの木からとれる豆の量は、およそコーヒーカップ40杯分だとか。
私は今までコーヒーの木何本分の豆を消費してきただろうか・・・と、つい考えてしまいます。
様々なデザインのコーヒーミル。
携帯用ドイツ軍用ミル。なんだか丈夫そうです。
写真のうち、右の2点はプジョー製のコーヒーミル。ライオンのマークがついていました。
コーヒーを抽出するための様々な器具たち。
イギリス製の古いサイフォン型抽出器や、アラビアのベドウィンポット、19世紀ブラジルの自動ネルドリップコーヒーメーカーなど、多彩なコレクションが並びます。タッチパネルでは、実際に器具を使ってコーヒーを淹れる様子を動画で見ることもできます。
おいしいコーヒーのために工夫が重ねられた歴史と、たくさんの人の手を経て運ばれてくる、コーヒー豆の長い旅路を思います。
コーヒーのイメージをめぐって
世界で初めてミルク入り缶コーヒーを開発したUCC上島珈琲株式会社。館内には、その歴史を紹介するコーナーもありました。
上の写真は、1955年頃の営業車の模型。「文化人はコーヒがお好き」というキャッチコピーが大きく書かれています。
戦時中は輸入が停止されていたコーヒー(1950年に輸入再開)。そのイメージアップとさらなる普及に向けての意気込みが表れているようです。
UCCコーヒーのCMアーカイヴコーナー。1970年代から2000年代まで、歴代のCMをタッチパネルで見ることができます。
「おいしいコーヒーがあれば会話も弾む」「かっこいいあの人も飲んでいる!」「頑張るサラリーマンのおともに」などなど、色んなコンセプトのものがあり、イメージ戦略の歴史としても興味深いです。
コーヒーにそそぐ愛情
館内の色んな場所で、コーヒーにまつわる意匠が見られます。
とりあえず、観葉植物はコーヒーの木。
コーヒー豆の形をしたソファ。
ハンズオン展示のつまみもコーヒー豆。
コーヒー豆一色のスタッフ用ドア(ちょっと分かりにくいですが、ドア一面にコーヒー豆の写真が貼ってあります)。
コーヒーへの熱い思いが感じられます。
また、「文化」に関するコーナーでは、コーヒーを愛した有名人たちの言葉が紹介されていました。特に、コーヒーと文学は相性が良いような気がしますね。
ところで。
「濃いコーヒーなら、その、大歓迎ですが」
これは、SFの名作『星を継ぐもの』(ジェームズ・P・ホーガン著、池央耿訳、創元SF文庫)から、地球を旅立ち月面基地に到着したハントとダンチェッカーの会話の一節。「一杯やらないか」と誘ったハントに対し、「コーヒーなら」とダンチェッカーが応じる場面です。
仲が良いとは言えなかった2人が、この会話をきっかけに距離を縮め、協力して謎の解明に挑むようになります。
やはり、この宇宙にはコーヒーが必要ですね(?)。